2025 Red Bull Rampage
【今年のランページの印象】
今年もレッドブルランページが終わりました。今年はブランドン・セメナックが出場しなかったので正直なところ例年よりもワクワク感は薄れていました。
でもね実際に蓋を開けてみたら過去1で面白いランページだと感じましたよ。
今年は各ライダーのランが完全にネクストレベルでした。ポディウムに上がった各ライダーのランは素晴らしく、個人的には2位のトーマス・ジェノンのランは圧巻でした。ビッグドロップでのスーサイドノーハンダーtoインバートには本当に痺れた。
優勝したヘイデン・ザブロトニーは少しオーバースコア感はあったかもしれませんが、確実にトップ3に入る素晴らしいランだったと思います。
スタート後、ペダリングから2連続でのリリーパッドドロップ。フラットスピン→ナックナック→ノーズボンク→ワンフットインバート。そして早めのタイミングからのフラットドロップバックフリップ。これは良かった。さらにフラットスピン→スーサイドノーハンダー、最後にオポジットフラットスピンと他ライダーよりもトリックのバリエーションが半端ではなかった。
彼の勝因はスタートからオリジナリティーのあるラインでランページらしいテクニカルな連続ドロップをメイク。そして多彩で完成度の高いトリック。96点は過去の大会の中でも2番か3番くらいに高いんじゃないかな?
個人的にもとても嬉しくて、彼は同じRockymountainのサポートライダー(彼は本国ライダー、自分は国内ライダーですが)。経営が不安視されているRockymountainにとって明るいニュースになりましたね。彼の乗るスペシャル仕様のALTITUDEは相当カッコ良いです。
3位のトム・バーン・スティーンバーゲンのランも素晴らしくランページらしいランでしたが、個人的には物足りず。コース720は良かったですが、彼の持ち味のフロントフリップをやらなかった事が残念でしたね。
【印象に残ったライダーとトリック】
他にも印象に残るライダーは多く、タラス・タークのノーフットキャンバックフリップ、フィーンリー・カーシュマンのフラットスピンワンハンド、トーマス・レモインのSTRATOSドロップメイクとキャニオンギャップでのタックノーハンダー(スーサイドノーハンダーが多い中でのタックノーハンダーは最高にイケていた)、ジャクソン・リドルのバックフリップヒールクリッカーとモトスタイルのスーパーマンワンハンダー等々カッコ良いランばかりでしたね。
【アンダースコア(過小評価)に感じたライダー】
トムアイステッドのランは非常に素晴らしかった。ヒップからのバレルロールは独創的だしキャッシュロールもビタ着。84点は低いかなと思った。ベストトリック賞を獲得したジャクソン・リドルも得点の出たライダーでは下から2番目ともう少し高くても?と思ってしまった。エミル・ヨハンソンのランも素晴らしかったけれどロースコアでしたね。得点を聞いた後の彼の表情は印象的でした。
【衝撃のシーン】
今回は衝撃的なクラッシュが3つ。1つはザイモンゴジエックのビッグドロップでのフロントフリップ。まさかあの高さでフロントフリップを繰り出すとは思いもしなかった。しかし後輪がケースしてオーバーザバー。その後は動かなくなって脳震盪を起こした様子。バイザーが外れた無惨な姿で起き上がりバ腕を上げ、バイクを押す姿が見られた。
2つ目はアドルフシルバ。ビッグドロップでまさかのダブルバックフリップ。しかし惜しくもアンダーローテーション。そのまま地面に叩きつけられて長いランディングを滑り落ち動かなくなってしまった。このシーンは衝撃的過ぎて解説の面々も言葉を失った。無言の状態が続いたのが印象的。僕自身も真っ先に彼は生きているのかを心配し、とにかく胸がドキドキし、いてもたってもいられなくなった。その後ドクターヘリで搬送されていった(幸い意識ははっきりしていて腰の骨を折る怪我で済んだ模様)。
3つ目はエミルヨハンソン。スタート直後のドロップオフでまさかのテールウィップ。しかもオポジット(得意な方向とは逆方向でより難易度が高い)。ランディング後にバランスを崩して左方向へ落下。斜面を転がり落ちたけれど、幸いにも途中で止まったのが良かった。重度の怪我を負ったのかコンテストは中断(骨盤骨折により動けなかった模様)。彼もドクターヘリで搬送された(病院に搬送後、大腿骨頭がはまる寛骨臼の破片を取り除く手術を行なった模様)。
ちなみに衝撃的なシーンと言えばアドルフシルバの1本目のスーパーマンで、パンツが脱げてオケツが見えてしまったシーンは解説の面々と共に腹を抱えて大爆笑してしまった。
【ランページの魅力】
ランページの良いところはみんなが健闘を讃えあってハグをしあう事。競技者同士、ディガーチーム、関係者、健闘を讃えあうシーンは毎回心を打たれる。
ちなみにランページは各ライダーに2名のディガーが加わり1つのチームを作る。ディガー達は自分のライダーを勝たせるために戦略を組みセクションを完成させる。中には他チームと共同でセクションを共有したりそのライダーの独自性が際立つラインチョイスを行う。例えばスロープスタイルのバックボーンがあるトム・アイステッドはバレルロールを行うためにヒップを制作したり、トーマス・レモインのバカデカいSTRATSドロップ、ヘイデン・ザブロトニーの連続リリーパッドドロップなど各チーム特色豊かなのだ。ヘイデンのチームはディガーアワードを受賞しましたね。やはりヘイデンのラインは評価されるべきラインだったと言う事です。
ランページに出場するためにはまずはディガーとして参加するのが一般的で、誰かのディガーを経験した後にランページ出場枠に選出されるのが主な流れ。またランページにライダーとして出場後にディガーとして入るパターンも。なので各ライダーのディガーチームのメンバーはランページに出場出来るほどのスキルを持っているのだ。走れるから造れる。これはディグの基本なのです。
スロープスタイルスターのポール・クーダークはトーマス・ジェノンのディガーだし、本人が出ても良い線いくんじゃない?と思えるほど。
また今回注目されたフィーンリー・カーシュマンのディガーはアギーとケイオス・シーグレイブ。ちょっとそれ贅沢過ぎませんか笑
こんな感じでディガーチームのメンバーを見ると、ランページは数倍面白くなるのです。
【ルーキー達の台頭】
今回優勝したヘイデン・ザブロトニーは初出場で優勝。プラクティスで不運にもクラッシュしてしまったがビッグドロップをメイクしたエイデン・パーリッシュ、スタイリッシュなランとワイドパンツにVANSスリッポンで会場を沸かせたフィーンリー・カーシュマン、スタイリッシュなランとビッグドロップで会場を沸かせたトーマスレモインと、本当にルーキー達の活躍が目立ったと思います。
DHでもジャクソン・ゴールドストンが頂点に登り詰めたし、国内でもイケイケのライダーが多いのでMTB界の未来は明るいです。
【ジャッジへの考察】
ジャッジに関しては毎年賛否が沸き起こりますね。これはもうしょうがない事。人それぞれ好き嫌いや好みがあるしカッコ良いと思う基準が違うのでジャッジに関して文句が出てしまう。だからこそ過去のランページ出場経験のある選りすぐりのライダー達がジャッジを行うのである。
けれど個人的に思う事はジャッジの面々はグレッグ・ワッツ以外みんなビッグマウンテン系のライダーばかり。ジョシュ・ベンダー、ランディー・スパングラー、ベアークロー、ジェフ・ガルビッチ、ペリー・エドワード・フェリー。
それだけに採点基準の一つである「TRICKS & STYLE」に対しての得点が低過ぎるのではと感じます。テールウィップやキャッシュロール、コーク720などのスロープスタイル系トリックの評価をもっと高くしても良いと思う。
だって同じビッグセクションを飛ぶ事に対して、トリックを繰り出すための特別なスキルが必要な事、そして失敗して大怪我をするかもしれないと言うとんでもないリスクを犯しているのだから。
リスクを犯さないシンプルなトリックと難易度の高い複雑なトリックの点数が同等に見られる事はなんだか解せないのである。それだけにスロープスタイル系ライダーのエミル・ヨハンソンとトム・アイステッドがアンダースコアに感じてしまいましたよね。
ちなみにパソコンやスマホの画面で見ると路面はスロープスタイルコースの様にスムーズに見えますが、実際の路面はドライでとても滑りやすく凸凹。数センチのラインミスで命取りになる様なテライン。
実際の現場で見ないと分からなくて画面で見るより数十倍難しいセクションです。ジャッジ達は各ライダー達のセクションを歩いて下見をしてあらかじめ分析をした上で、本番では画面と目視で各ライダーのランを見てジャッジする。
ちなみに採点基準は以下
「DEGREE OF DIFFICULTY」
「TRICKS & STYLE」
「FLUIDITY & CONTROL」
「AMPLITUDE」
以上を考慮してジャッジされる。
個人的な意見としてはそろそろジャッジの入れ替えを行なっても良いのではないだろうか。ジャッジが北米ライダーに偏りすぎなので欧州ライダー達も入れるべきだと思う。だって多少なりとも私情も入っちゃうでしょ。
【ニュージェネレーション】
ニィージェネレーションで1番の注目だったのはフィンリー・カーシュマンだったであろう。彼は今年からトップフリーライドチームであるTRECK C3チームに加入しており、ある意味将来のブランドン・セメナック。去年のCAM ZINKインビテーショナルでも勝ったりと北米では注目されているライダー。ガチのビッグマウンテン系フリーライダーという事もあってスロープスタイルシーンには出てこないので露出が少ないですが、本物中の本物なのです。しかもアギーとケイオス・シーグレイブをディガーに付けると言う大物感。軽やかで柔らかいライディングから織りなすシートスタンド、インディー、フラットスピンワンハンダー、思い切りの良い360ドロップオフ、意表をついたビッグフロントフリップ、スタイリッシュなユーロバートと会場を釘付けにしましましたね。
数々の伝説を作っているランページレジェンドといえばCAM・ZINK。彼の2本目のランは惜しくもスーパーマンシートグラブの際にクラッシュしてしまったけれども、クラッシュがなかったら良いスコアを出していたに違いありません。彼のバイクブランドであるZINK BIKEのニューモデルで望みましたがアピールし切れなかったかもしれませんね。最終的はに最終走者のリード・ボグスは強風により2本目をキャンセル。優勝は初出場でのヘイデン・ザブロトニー。初出場でのウィンはブランドンセメナック以来じゃないかな?
現地に行っていた日本人ライダーのアヤト君は何を感じ何を思っただろう。
これまで自分はプロフリーライダーとしての目線で、第1回大会からランページを追い続けてきた。ライダーのスキル、スケール、そして命を懸けた挑戦。世界トップレベルの中でも、出場すること自体が奇跡のようなイベント。この「夢の舞台」に日本人が立つ日を、いつかこの目で見たい。
そのためには、環境と無限の努力、そして挑戦し続ける気持ちが必要。まだ時間はかかるだろうけれど、その未来は近づいていると信じたい。
【最後に】
2025年のランページは、セメナック不在でもMTBフリーライドの進化と世代交代を感じさせる大会でした。
若手が歴史を塗り替え、ベテランが魂を見せ、そして観客がその姿に涙する。これこそがレッドブルランページではないだろうか。今年も心震えるコンテストでした。


















































