ROCKYMOUNTAIN Altitude Power Play インプレッション
今シーズンはリフト搬送のない「ふじてんMTBパーク」で、ROCKYMOUNTAIN Altitude Power Play(以下Altitude PP)に乗っています。かなりの感動があったので、簡単にインプレッションをまとめてみました。
【登り性能】
Eバイクということで、まずは登りについて。
当然アシストがかかるので登りは楽ですが、Altitude PPのアシストはとても自然で違和感がありません。変なタイミングで力が加わるようなこともなく、いつも通りペダリングしている感覚に近い。でも、明らかに速く、軽く登っていける不思議な感覚です。細かいラチェティング(ペダルちょい漕ぎ)をしても挙動がより自然ですね。
自社製モーターのおかげで、まるで自分のフィジカルが爆上がりしてXCトップライダーになったかのような錯覚さえあります。250W、108Nmというクラス最高のハイパワーのおかげで筋肉への負荷が軽いため心拍の上昇も緩やかで、登りが永遠に楽しく感じられるようになりました。
平坦な登りも十分楽しいですが、テクニカルなダート登りではさらに楽しさが倍増。路面変化に合わせた重心移動やペダリングの加重、抜重のタイミングなど、ノーマルバイク同様の動作が、心拍を抑えつつ楽しめます。
これは、テクニカルな下りでラインを攻める感覚に近く、むしろダウンヒル好きな人ほどハマるのでは?と感じました。
「Eバイクでも十分疲れる」とよく言われますが、正直そこには少し懐疑的。モーターアシストがある分、心拍は上がりづらく、筋力の消耗も少ないので、人によっては「楽すぎる」と感じるかもしれません。
逆に、普段あまり運動しない人には「けっこう運動したな」と思わせてくれるバイクでもあります。フィットネスレベルに応じて楽しみ方が変わる、それがEバイクの魅力ですね。
【下り性能】
登り性能に驚かされた後、下りの性能にも衝撃を受けました。
まず、車重にネガティブなイメージを持っていたのですが、むしろそれがグリップ力に直結。コーナーでの安定感が圧倒的で、特にMAXXIS ASSEGAIタイヤとの組み合わせで、路面をしっかり捉えるキレのあるコーナリングが可能に。
車重の重さによってサスペンションがよく動き、反応が非常に良い。車体自体の自重でサスが少し沈むことでプリロードがかかり、動き出しがスムーズで滑らかに反応に感じます。FOX 38 GRIP X2とFLOAT X2のセッティング幅の広さもあり、ノーマルバイク以上に下りは安心感がありました。
重さに対する「もたつき感」も、抜重タイミングなどのテクニックで十分にカバー可能。重さの中心がBB周辺に集まっているため、ライディング中のフィーリングも良く、「ワールドカップライダーがBB付近に重りを追加するのってこういうことか」と実感できました。
ホイールもStan’s MK4リムとONYX Vesperハブで軽量化されており、バイク全体のバランスがとても良いです。
さらに、MID-HIGHピボット設計によりリアアクスルが後上方に動くことで、衝撃がうまく逃げ、リアタイヤへの当たりが優しく感じられます。旧Altitudeとほぼ同じ見た目なので同じに見えますが、明らかに別物。旧Altitudeは国内外で散々乗ったので分かりますが、こちらの方がよりサスペンションがアクティブに感じます。
【ジャンプ】
ジャンプに関しては、予想以上に重量を感じました。ややモッサリとした印象があります。
ただし、しっかりと踏切動作を行えば、反力を利用して飛ぶことができます。低速域では、バニーホップやホッピング、フロントリフトなどの動作が難しく、加重と抜重をしっかり使いこなす必要があります。
一方、速度が上がれば慣性も手伝って飛びやすくなります。ジャンプのリップやきっかけがしっかりしていれば、問題なく飛べます。ふじてんのスキルパークや馬車道の連続ジャンプなども全く問題ありません。
むしろ重さがある分安定しているので、スーサイドノーハンダーなどはやりやすいと感じました。
Eバイクは車重の重さによる路面への張り付き感が良いので、バックサイドの合わせ、バームなど、そのGがとても気持ち良いですね。
【トレイルビルドにも】
僕はプロトレイルビルダーとしても活動していますが、Altitude PPはトレイル調査や整備にも非常に役立ちます。
車両が入れない場所にもスムーズにアクセスでき、登りも関係なく移動できるので、ログを取ったり、試走したりするのがとても楽です。
ふじてんの整備時にも使っていますが、コース間の移動が楽。ディグ直後の試走も何回も出来ます。Eバイクはトレイルビルドの現場でも活躍できると実感しています。
道具を入れたバックパックを背をって山に入り、試走をしながら仕上げていく。今までは車両が必須でしたがより身軽になりましたね。
【総評】
Altitude Power Playに乗って、Eバイクの楽しさと奥深さを実感しました。
まず1つ言いたい事は、楽しむための効率が段違いに上がる事。体力が削られずに登りも下りも両方楽しめるので、ノーマルバイクよりも数倍の楽しみを享受出来ます。
体力のない人でも山の上まで行けて、楽しい下りを味わえる。体力のある人なら、よりスティープでテクニカルな登りに挑戦できる。どんなレベルのライダーにも、それぞれの楽しみ方があると思います。
最近はライトウェイトEバイクも増えているので、自分のスタイルに合わせた選択ができるのも嬉しいですね。
下りでの速度域が上がればバイクの重さも気にならなくなりより楽しくなる。逆を言えば速度域が遅いと重さを感じるでしょう。て事は、スキルがあればある程楽しめると思います。
上級者はパッと乗っただけで相当楽しめると思いますよ。まぁスキルに関してはEバイクだけでなくノーマルバイクでも言える事ですけど。
Eバイクに乗るからといって、ノーマルバイクを使わなくなるわけではありません。ジャンプなど縦の動きを楽しむときは、やっぱり軽快なノーマルバイクがベスト。実際、今でもSlayerにもしっかり乗っています。
ちなみにROCKYMOUNTAIN Altitude Power Playはクラス最高スペックのモーターを誇ります。国内ではアルミモデル限定ですが、在庫の残りが減っている様です。迷ったらコレと言うくらいオススメなEバイクなので是非いかがでしょうか。
それと最後にふじてんに関しての情報ですが、リフトだと山頂まで通常10分掛かりますが、Eバイクだと10分切ります。て事はEバイクを持っている人は通常のリフト営業よりも多く楽しめると言う事ですね。来シーズンからは新規リフトを利用したいつものリフト営業に戻るので、今シーズンのふじてんMTBパークはEバイクオーナーには最高のフィールドになる事でしょう。