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2025/08/22

【2025 Red Bull Joyride スロープスタイルレポート】

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2025 Red Bull Joyride スロープスタイルが終わりましたね。

今年も有料エリアでじっくり観戦しました。

 

『エミル・ヨハンソンの復活』

 

今年最大の注目は、やはりエミル・ヨハンソンの復活です。

彼は圧倒的なスキルを誇り、歴代最多優勝記録を持つ選手で、怪我する前までは“無敵”そのものでした。

 

しかし昨シーズンは膝の怪我で完全に棒に振り、今年のロトルアでようやくCrankworxに復帰したかと思えば、まさかの転倒で鎖骨と肋骨を骨折。再び手術を余儀なくされ、シーズンの大半を失いました。

 

Whistler Crankworxのスロープスタイルは、FMBA公認大会の中でも最上位グレードのDIAMONDイベント。だからこそ彼は、このJoyrideに全てを懸けてリハビリに励み、満を持して戻ってきたのです。

 

怪我前の彼は本当に伸びやかで柔らかな動きを見せ、ライディングのこなしとトリックの正確さは全盛期のブランドン・セメナックを彷彿とさせていました。難易度の高い技をまるで簡単そうにやってのけ、余裕で優勝してしまう――そんな存在でした。

 

ただ昨シーズン以降は表情も動きも固く、彼らしさを失っていたのも事実。その姿が、かつてファンやスポンサーからの重圧で苦しんだセメナックと重なって見えました。

 

セメナックもまた、連勝を重ねる中でプレッシャーに押し潰されかけ、最後はウィスラーで勝利したタイミングでスロープスタイルシーンを退き、フィルミング中心に活動を移しました。

 

僕はティーン時代からのセメナックをここウィスラーで見てきただけに、ヨハンソンの姿が余計に重なって見えたのです。(同じTrek C3チームで、Red Bullライダーという共通点もありますしね。)

 

だからこそ今回、彼には絶対に勝ってほしかったのです。

 

ヨハンソンの1本目のランは文句なし。他のライダーを完全に一段上回っていました。

彼が常に高得点を叩き出す理由は、オポジット(不得意方向の回転)を組み込んだコンボを何度も決めてくるからです。オポジット単体でも超高難度なのに、さらに2つ3つトリックを重ねてしまう“超ウルトラC”。

 

さらにフロントフリップ・スーサイドノーハンダーのような、玄人も唸るスタイル全開のトリックを混ぜてくる。だからスコアは伸びるわけです。

 

とはいえ僕の目には、練習から少し固さが残り、本領発揮には至っていなかったように見えました。優勝スコアもやや低めで、3年前の95点には届きませんでした。完全復活すれば、来シーズンは再び“無敵”に戻るはずです。

 

 

『採点への違和感』

 

今回、少し疑問が残ったのがデイヴィッド・ゴジエックのスコアです。

僕も採点を試みましたが、どう見ても3位のエリック・フェデコより上、下手したら2位のティム・ブリンガーより上だと感じました。

 

ゴジエックはキャッシュロールやツイスターといった3D系の大技に、バースピンなどを組み合わせたコンボを3回も成功させています。

それなのに、大技コンボを1回しか決めていないティムより低いスコア。

 

確かにティムはダブルバックフリップやキャッシュロールといった大技を、それぞれ複数回成功させていました(うち1回はXアップとのコンボ)。失敗した1本目から切り替えて2本目でイケイケに攻め、最後のバックフリップ・タックノーハンダの印象も強かったので、その勢いが評価されたのかもしれません。

 

とはいえ、少なくともゴジエックがエリックを下回るのは正直「おかしくない?」と感じました。

ただ、審査員は全員がJoyrideを戦った経験のある元トップライダー達。彼らの視点が加わった採点である以上、納得するしかないのかもしれません。

 

 

『注目ライダー達』

 

カナディアン勢の活躍も光りました。

バンクーバーのチャンス・ムーア、スコーミッシュのベン・トンプソン、プリンスジョージのグリフィン・ポールソンらが上位に食い込みました。

 

ワイルドカードで出場したドイツのトビー・マイリーも勢いがありましたし、僕の大好きなポール・クーダークも相変わらずイケてました。

 

そして、スロープスタイルの象徴とも言えるニコライ・ロガーキン。6週間前に腕を骨折し、出場は不可能かと思われましたが、直前に走る決断をし、怪我前とほとんど変わらないランを披露。彼の熱い気持ちを強く感じました。

 

 

『まとめ』

 

こうして今年のJoyrideは幕を閉じましたが、正直少し物足りなさも残りました。

ゴジエックもティムも素晴らしかったものの、やはりエミルと互角に渡り合うライダー同士の激しい競り合いこそ、会場全体を揺らすような盛り上がりを生むのだと思います。

 

過去にセメナックが会心のランを決めたときの、ウィスラー全体が震えるようなどよめきを、もう一度聞きたい。そう思いました。

 

最近配信されたSRAMからの映像シリーズ「FOREVERISH」 の影響もあり、今回のCrankworxでもセメナックの存在感をひしひしと感じましたね。

 

やはりフリーライドMTBの世界は、まだ彼を必要としているのだと思います。

 

秋に予定されているFMBA DIAMONDイベント、Red Bull Rampageに彼の名前がなかったのは残念ですが、ランページについてはまた別の記事で書きますのでお楽しみに。

 

ちなみに女子カテゴリーは出場者が3名と寂しかったですね。本来は4人だったはずが、2人怪我をしてリノが補欠で出場した様でした。

 

女子カテゴリーが出来た事で、ダートジャンプをする女子の人口が明らかに増えている印象です。ダートジャンプに行くと、必ず数人の女子が熱心に練習していますもんね。今年のコースの大技を入れるダブルは、リップがほんの少し少し立ち気味になり距離が短くなってややステップアップ形状でジャンプの難易度が下がっていたのは女子の事を考慮してのことでしょう(この形状は対空時間を確保し難いので大技が出し難いのですが)。

 

と言うわけで、こうして2025年のRed Bull Joyrideは幕を閉じました。

 

 

 

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