2021 FOX 38FLOATの衝撃
ようやく梅雨明けしたという事で慌ただしいコース整備とクリニックの合間にやっと新型フォークのテストライドが出来ました。FOXの新型フォークである38FLOAT。FOXに新しいラインナップに加わったエンデューロレース向けモデル。久しぶりの衝撃でした。
数年前に初めてサポートしていただいて使った36FLOATが最初の衝撃。なんなんだこれ反則じゃん。という感覚。ダンピングのきめ細かい質の良さ、剛性感、摺動抵抗の少なさによるスムース感。あの時も感動しました。けど、今回の38の感動と衝撃はそれ以上でした。
何が凄いって、まず感じた事は剛性の高さ。走行中にフォークの前後方向への撓みが感じられないのでとにかく良く入る。EVOLの機構がさらに進化したので今まで以上にスムースになっていて、僅かな段差やギャップの衝撃をとにかく拾いまくるんです。わざとラインを外して連続した根っこや溶岩帯に突っ込んでも手への衝撃が無い。衝撃が無いって又オーバーな!と思うでしょうがホントなんです。とにかく手への当たりが柔らかく優しいんです。
最初は38になった事で剛性が上がりスパルタンな乗り味を予想していましたが真逆。剛性が高くなった事を逆手に取ってかEVOLスプリングを進化させ入力し易くなった事で逆にマイルドに。そしてさらにGRIP2ダンパーをも進化させ初期、中間域、ボトム付近までを見事にコントロールしているので不意に入り込む事はなくウルトラスムースでいてかつ踏ん張るという逆説的な要素を見事に備えているんです。こりゃ驚きましたよ。ハードブレーキングやバームでのGの掛かるハイスピードコーナリングも物ともしません。40並みの剛性感、もしくは全長が短い分40以上かも。
新しく38に交換した事でフロントがかなりカッチリしたのですが、僕のロッキーマウンテンスレイヤーのフレーム剛性もかなり高いので逆にバランスが取れました。最近のエンデューロバイクはフレーム剛性が高いのでバランスが取れるモデルも多いはず。今思えばこれまでの36は華奢だったな〜とさえ感じますね。
また路面の設置感が凄いです。オフキャンバーや根っこセクションでフロントが滑る気がしません。路面の凸凹をスルスルっと簡単に通り抜けてくれるので進んで行く時の減速感がないのにも驚きました。この感覚は29インチホイールに乗っている時に似ていて27.5インチホイールでも29と同じ様に減速感がなくグングン進んで行くんです。これってレースではかなりのアドバンテージになると思うんですね。タイム出ますよこれは。
僕の様なレーサーではない人にもお勧めで、ライド中に気持ちにかなりのマージンが出来るのでライン選びが楽しくなります。あえて厳しいラインに突っ込んでみると言うチョイスが生まれ、走破した時の達成感や爽快感はマウンテンバイクの面白さを再確認させてくれます。初めてチャレンジするビッグジャンプやドロップでもこの38ならチャレンジを後押しメイクへと導いてくれますね。
毎年毎年FOXの進化が凄いと感じていましたが、今回の進化はケタ違いでした。これからフロントフォークの購入を検討している方は参考にしてみてください。実際に押してみたい方はふじてんで僕に声を掛けてくださいね。押したら買っちゃいます多分。
グラフィックが変わりマットからグロスへ塗装も変わりました。
楕円形のステアリングコラム。縦方向へのしなりを減少させている。力が掛かる所は厚く、掛からない所は薄く。これもFOXの技術力ですね。
エアーブリーダーが追加されフォーク内圧を大気圧と均等化するシステム。ロワーレッグはストロークする度に僅かながら空気を吸い込みます。ロワーレッグに空気が溜まるとスモールバンプの応答性が低下し手にコツコツくる様になりますが、そんな時に簡単にエアを抜いて大気圧に戻す事が出来るんです。標高の高いスタート地点なんかでプシュッと抜けばいつでもベストな状態で走る事が出来ます。
まあここまでは40にもあった機能なんですが、それに加えてこのブリーダーはシールやブッシュに対してオイルを潤滑する仕組みが加わりました。大気圧に戻してさらに潤滑できるなんて凄くないです!?そして見えにくいのですが、ロワーレッグチャネルと呼ばれる空気の通り道はリブの役割を果たし剛性の向上に寄与しています。ん〜、抜かりなし。
新型アーチ。見た目は好みが分かれると思いますが、実物はマッシブでかなりカッコ良いです。バイクに装着するとまたさらにかっこいいですね。この形状がFOXが導き出した軽量と高剛性を兼ね備えた答えの様ですね。FOX純正フェンダーも発売されピッタリと装着できてカッコ良さげです。既製品のフェンダーを取り付けると、タイラップで締めるためせっかくのグロスにほんのり傷が入ります。なので純正品がオススメ!
フローティングアクスル。フローティングスリーブをハブの幅にピタリと合わせ締め込む事ができます。何かで見ましたがハブ幅ってメーカーによって数ミリ単位で誤差があるみたいでこの方式を取らないと微妙なズレが生じてしまう様です。FOXはフローティングアクスルにより完璧な位置合わせが可能になり狂いがないのでストロークを妨げません。ただ取り付ける手順を間違えると意味を無さなくなるので、行きつけのプロショップから取り付け手順の説明をしてもらいましょう。マニュアル読んでもわからない人は多いと思います。そんな時の頼りになるプロショップですよね。
GRIP2のハイスピードコンプがVVCバルブに進化。全6ノッチで変化の違いが分かりやすく調整しやすくなりました。