RedBull Joyride 2023
今年も終了しましたREDBULL JOYRIDE。CRANKWORXの中でも目玉種目であるこの種目は、ダウンヒルでもなくエンデューロでもなくスロープスタイル。
そうそれは今から20年前、CRANKWORX前身イベントのフリーライドフェスティバルJOYRIDEにて、世界で初めてここウィスラーで開催されたMTBスロープスタイルコンテストからの流れを引き継いでいます。
自分はその第1回目から現場で見続けている世界でも数少ないであろうヘンタイなので今年もこの目にしっかりと焼き付けました。
今回のポイントは以下。
①コースレイアウト
②コンボ&オポジットトリック
この2つですかね。
今年はウィスラーMTBパークのメインとなるフィッツシモンズチェアリフトの掛け替え工事のため、全てのバイカーがボトムからアップロードするにはゴンドラのみの利用に制限される少し不思議なシーズンですが、スロープスタイルコース造成スケジュールにも影響があったらしく、工事との兼ね合いで今までの中で1番シンプルなコースレイアウトになりました。
毎年最大の見せ場であるラストドロップは廃止されシンプルなダブルでゴール。
それでも途中のジャンプはダブルではなくしっかりとヒップになっていて、ラストダブルの前には勢いが乗りにくいテクニカルなダートスパインが配置されると言うレイアウト。
観客と視聴者にとっては少し迫力の足りないフィーチャーだったかもしれませんね。
視点を変えてビルダー目線でボーンヤード(スロープスタイルコースとなる斜面)を眺めると、チェアリフト掛け替え工事の関係でズラさなければならなく狭くなったゴール位置とデュアルスラロームやスピード&スタイルのコースも所狭しと配置しなければならなかった事、スケジュールの段取り等、その苦労が手に取るように理解できます。それを考慮すると今年もJOYRIDEディガークルーはグレイトジョブだったと思います。
優勝はエミル・ジョハンソン。ゴールした時の盛り上がりは多くはありませんでしたが、トリックを細かく採点していくと間違いなく優勝だと思います。
なぜかと言うと、彼は3つのコンボトリックとオポジットトリックを惜しみなく繰り出したからです。
コンボトリックとは2つ以上のトリックを同時又は連続で行う高難易度トリックですが、エミルは3つのトリックを織り交ぜています。そしてオポジットトリックもコンボでそれに入れ込んで来る。
オポジットトリックとはスイッチとも呼ばれ通常の効き方向とは逆に回ったり回すトリックで、これまた高難易度なのです。効き方向の逆の動作を行う事は人間とても難しく、それだけ人よりも練習と才能が必要なのです。
右利きのバッターが左で打ったり普段日常で使っている箸を左で使って食べる様なものですね。
イメージで言うとオポは通常の1.5〜2倍近く難しいイメージですかね。
MTBではありませんが、エミルの様にオリジナリティの高いコンボトリックで成績を収めているライダーと言えば、リムナカムラ。BMXパークで日本が誇る中村輪夢君です。彼はコンボトリックの鬼で、彼しか出来ないコンボトリックを数多く持っていてメダルを重ねています。エミルのオハコであるウィンドシールドワイパーもやりますしね。
今後リム君がオポを沢山やる様になったら無敵感はさらに増すでしょう。
て事でエミルがこれだけ連勝記録を作り続けている理由はそこにあるんですね。
他のライダーが見た目の華やかなコーク720やダブルバックフリップを行っても、オポとコンボを駆使しているエミルの得点には到底届かないのです。しかもスーパースムースにやるもんだから難しく見えないって言うね。
しかし2位のポール・クーダークと3位のトム・アイステッドのランは非常にアグレッシブでカッコ良かったですね。
BMXダートのXGAMEメダリストでもあるザイモン・ゴジエックがラストジャンプで惜しくも転倒してしまいましたが、あれが決まっていたら2位は確実だったでしょう。
なぜならキャッシュロールバースピン、キャッシュロールテールウィップ、そしてラストにツイスターと言う大技にバースピンを入れる高難易度の鬼コンボを行ったからです。
彼の毎回最後まで攻め攻めのスタイルは共感せざるおえません。そこまでしないとエミルに勝つ事は難しいと言う事を彼は理解しているのです。彼は挑戦者と言う立場なだけに恐れるものは何もないって感じですね。
今回は怪我で実況中継に回っていた優勝候補の1人であるニコライ・ロガーキンですが、彼が優勝できないのはオポジットトリックとトリプルコンボが乏しいのが理由。ビックトリックが彼のスタイルで非常にクールなだけにスコアが出にくいのは非常に惜しい。
観てる観客や視聴者と実際の順位が毎回異なってしまい炎上するのがジャッジ競技には常に付いて回りますが、こればっかりはしょうがないですね。
その理由から今年からライダーオブザデイが加わりました。ネット投票と言うやつです。スクリーンで観て誰が1番だったかと言う賞です。賞を獲得したのは地元カナダスコーミッシュのベン・トンプソン。確かに良いランでした。でも地元票が多かった様にも思いますが笑
それ以外は今回転倒者も多かったのも残念でした。風と日差しによって3時間スタートが遅れ、時間の関係で各ライダーのランは1本のみに。風の影響とテクニカル(細かい部分での)なコースによりティム・ブリンガーやトーマス・レモインなどの有力選手は転倒に終わってしまいましたね。
強風の中でのヒップジャンプはスピンの回転を調整するのが難しく、よりテクニカルになるのです。ラストジャンプ前のダートスパインは曲者でしたね。あそこで勢いが完全に死んでみんなラストジャンプ前にペダリングを余儀なくされました。ダートスパインでトリックをミスったり飛び過ぎたりすると、ラストジャンプの成功率が下がってしまうと言う寂しい感じでした。
そこで大クラッシュをして搬送されてしまったトルティアット・テスタ。早く良くなって欲しいです。
ただそんな条件においてもコンボトリックを面ピタで合わせてくるエミルは今回も圧巻でした。
さらに補足すると彼は珍しくプラクティスで転倒し肩を負傷していてのランでした。その状況であのランはレベチでしたね。
しかし予定時間から同じ場所で3時間も待たされた自分も流石にクタクタになりました。文句一つ言わずそんな状況さえも楽しんでいるカナディアン達のハッピーなバイブスには感心しましたよ。
また来年ここで生で観てブログを書きたいと思います。て事は今年で20年目のレポートって事ですかね⁉︎
そう考えると自分がスロープスタイルを追いかけて来た年月の長さを感じますね〜。
ではでは🤘